DXと2025年の崖

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 こんにちは、Teraです。 時代は瞬く間に変化することを肌で感じる今日この頃。 テスラがいよいよ人型ロボットを完成させると発表しました。私が生きている内にドラえもんに会えるかもしれないと思うと気分が少し高まります。しかしそれまで、日本経済は持ちこたえられるのか不安、今日は目の前に投げかけられている問いについてのお話です。

2025年の崖

 こんなにもDXが日本で騒がれるようになったのは平成30年に経済産業省の報告書で2025年の崖と題して発表したことからはじまります。日本でと言ったのはDXの言葉自体は世界ではあまり使われていなからです。報告書の中にこのような文言があります。

  1. 既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化している
  2. 経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている

1, 2の課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある。これが2025年の崖です。どのような理由で巨額な損失は導き出されたのかが下図になります。

出典: 経済産業省DXレポート

経営面・人材面・技術面の3つの観点から従来通りであればそこから崖に落ちてしまうというシナリオが描かれています。2025年までに21年以上稼働しているレガシーシステムがシステム全体の6割を占めるとも予測。技術的に適切なメンテナンスを行わないなどの不十分なマネジメントによってブラックボックス化が起こっています。これがつまり、属人化の行く末です。現在、全国的に日本で大規模なシステム開発を行ってきた人材が定年退職を迎え、属人化によるシステムのブラックボックス化が発生しています。レガシーシステムの問題を自覚していても、日々の業務に支障がでてこない限り問題の重要性が顕在化してきません。大企業・中堅企業・中小企業・小規模事業者、事業規模に関わらず共通していることです。また、問題を根本的に解消しようとしても、長期間とコストを要する上、失敗するリスクもある中で根本的にシステム刷新をするインセンティブが生じにくいのが現状です。

DX実現のシナリオ

 この報告書の中には2025年の崖問題を解決する打開策のシナリオも提示されています。2025年までの間に、複雑化・ブラックボックス化した既存システムについて、廃棄や塩漬けにするもの等を仕分けしながら、必要なものについて刷新しつつ、DXを実現することにより、2030年実質GDP130兆円超の押上げを実現。 なんと、国内企業のDXを成功させることができればGDP130兆円超の押上げができると語っているのです。 最新速報では2020年の実質GDPは528.7兆円で実質成長率は-4.5%でした。

出典:令和3年8月16日内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部速報

日本は過去10年以上実質GDPは500兆前半から中盤を推移し続けており、成長の鈍化と成長率が下がっている経済的問題を抱えています。DXを成功させると現在の四分の一もGDPを底上げできる試算が出ているので、経済産業省が力を入れているのも納得の理由でしょう。また、DXに必要なことを3点あげています。

  1. 顧客、市場の変化に迅速・柔軟に対応しつつ
  2. クラウド、モバイル、AI等のデジタル技術を、マイクロサービス、アジャイル等の手法で迅速に取り入れ
  3. 素早く新たな製品、サービス、ビジネス・モデルを国際市場に展開

既存システムのブラックボックス状態を解消し、データをフルに活用した本格的なDXを実行し、あらゆる企業が”デジタル企業”にとの願いが込められたのがこの報告書でした。

DXに向けて

 2025年を境にレガシーシステムが崩壊することとDXの成功は爆発的な成長が見込めるということを掴んでいただけたのではないかと思います。この報告書のほんの一部しか取り上げていませんが、かなり中身の充実した20分ほどのLTができるぐらいの濃い内容なので時間がある時またはDXの知識を身につけてから一通り読む価値は十分にあると思います。さて、ビジネス側からすると、一体DXをどうやって実現するのかという具体的な話をそろそろ聞きたいと思うのですが、もう一記事だけ間にはさませてください。

 次回は、産業革命の歴史についてです。

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